『オリバー・ツイスト』

オリバー・ツイスト [DVD]

オリバー・ツイスト [DVD]

ロマン・ポランスキー版をDVDで観る。 都市の街並みから衣服や風俗まで浸透したヴィクトリア朝の雰囲気を見ているだけでも飽きない。「おかわり」のシーンや、窃盗ゲーム、群集に追いかけられるシーンやサイクスの死など原作のハイライトも見事。異腹の兄モンクスを登場させずに、オリヴァーの血縁関係を曖昧なままで終わらせたのも結果的に良かった。
密かに注目していたのがユダヤ人表象。実は本作の第二次大戦直後の映画化では窃盗団首領のフェイギンが強欲な同性愛者として描かれ、その反ユダヤ主義が問題視された経緯がある。今回も不気味なことは確かだが、フェイギンがユダヤ人であることすらあまり前景化されていないような気がする(英語の発音で分かる人は分かるのかもしれない)。 あと、ナンシーが売春婦だと気付く観客はどれぐらいいるのだろうか・・・。