路上論集

The Streets of London: From the Great Fire to the Great Stink

The Streets of London: From the Great Fire to the Great Stink

気鋭のイギリス史家13名が集った「路上」論集。前書きは本著の刊行前年に死去したロイ・ポーター。
1666年の大火によってロンドン中心部の4/5が焼失。そこから再建された新しいロンドンを「歩行者のためのロンドン」と位置づけて、社会史的または精神史的に「道」の変遷をたどる文化研究といったところ。デフォー、フィールディング、ボズウェルなどの「路上」文学とモロに響き合っていて、使えそうな話題に事欠かない。「貸し馬車」「下層階級」「性」「犯罪」「中傷」など外すわけにはいかない話題に加えて、珍しいところだと「グラフィティ」(俗に言う「落書き」)を論じた第6章がある。都市とグラフィティというと20世紀後半の「ストリートアート」しか思い浮かばないが、実は18世紀ロンドンでも「路上の落書き」は日常風景だったらしい。ダイアモンドで落書きというのも18世紀ならでは。
シンシア・ウォールの第1章は「住所」から新ロンドンのメンタル・マップに肉薄するもので、まさにコレの続編。
Lit & Cult Spaces Restoratn London

Lit & Cult Spaces Restoratn London