『功利主義と分析哲学』

功利主義と分析哲学―経験論哲学入門 (放送大学教材)

功利主義と分析哲学―経験論哲学入門 (放送大学教材)

功利主義」(筆者の用語だと大福主義)と「分析哲学」の源流を「イギリス経験論」に遡る試み。この「経験論」とは感覚データによる印象・観念のみを意味するのではなく、より広く「努力し試みることの中において」という行為を重視した意味で捉えられなければならない。そこから一連の思想を貫く「計量化への志向性」が暴かれる。具体的にはロックから、バークリ、ヒューム、ベンサム、ミルを経由して、論理実証主義や現在の功利主義へ。

一つ大きな主題を挙げるとすれば「因果」(原因)だろうか。全体を眺めてみてもヒュームの因果論の影響が計り知れないことに気づかされる。